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2026.05.19

エリオット波動の第3波だけを狙うFX手法|押し目買い・利確・損切りを一本化するワークフロー

エリオット波動の第3波だけを狙うFX手法を解説。2波の押し目買い、1波高値ブレイクの順張り、フィボ1.618/2.618/4.236での段階利確、2波起点での損切り、修正波Cやリーディングダイアゴナル誤認の回避まで、ワークフロー1本にまとめます。

S3up
2026.05.19 / 16分
免責事項

この記事は情報提供を目的としており、特定の売買を推奨するものではありません。エリオット波動は確率的アプローチであり、シナリオ通りに動かないケースが常に存在します。FX取引にはリスクが伴い、損失が発生する可能性があります。投資判断はご自身の責任でお願いします。

エリオット波動の5波の話は何度も読んだ。1波・2波・3波・4波・5波という名前も覚えた。それでも、いざチャートを開くと「いま何波目だっけ」と固まりませんか。1波目だと思って飛び乗ったら2波の押しに刈られ、「もう一度入ろう」と狙ったら今度は修正波Cで、上位足のトレンドと逆方向にやられる——こんなふうに、エントリーになるたび毎回違う負け方をしている人は多いんですよ。

結論を先にお伝えします。狙うのは1波ではなく、2波の押し終わりから入る第3波。2波が50〜61.8%ゾーンまで戻ってきたところで反転足を待ち、1波高値の終値ブレイクで仕掛け、フィボ1.618/2.618/4.236で段階的に利確、2波起点を割ったら損切り——これが第3波だけを切り出すワークフローです。難しい話ではないんですが、これができていないと、ずっと「カウントが後付け」で勝てない状態が続いてしまうんですよね。

この記事を読み終わったら、あなたはエントリー前に7項目だけ確認するチェックリストを持って帰れて、第3波と修正波Cを上位足の方向で切り分けられるようになります。「形は似ているのに、なぜか入ると逆に動く」——あの典型的な負け方を1つ減らせるはずです。

この記事でわかること

(1) なぜ第3波だけを狙うのが、いちばん割に合うのか — 値幅・延長確率・ロジック化のしやすさという3点から、第3波が「唯一トレードロジックに落とし込める波」である理由を整理します。

(2) 2波押し→1波ブレイクの実戦ワークフロー — フィボ50〜61.8ゾーンの待ち方、1波高値の終値ブレイク、出来高の代用としてのティック・ATR・継続ギャップまでをセットで示します。

(3) 第3波と修正波C・リーディングダイアゴナルの誤認回避 — 形だけでは見分けられない双子の波を、上位足の方向で切り分ける具体的な判別軸を提示します。


なぜ第3波だけを狙うのが、いちばん割に合うのか

「全部の波を取ろうとして全部負けるくらいなら、本命だけ狙えばいいのでは?」——たぶん、あなたもどこかでこう思ったことがありますよね。結論から言うと、その直感は正しいです。エリオット5波の中で、値幅・確率・ルール化のしやすさをすべて満たす波は、第3波だけなんですよ。

マラソンをイメージしてみてください。スタート直後(1波)は誰が独走するか分からないし、ラストスパート(5波)は皆が消耗していて伸びが鈍ります。いちばん見応えがあるのは、ペースが上がって独走者の姿が見えてくる中盤の独走区間。これが第3波です。1波はカウントが正しいか確信が持てない段階、5波は終わりが近い。ところが第3波だけは「いま皆が同じ方向を向いた瞬間」に出るので、自分も流れに乗りやすいんですよね。

もう少しだけ踏み込みます。第3波には「最も値幅が出やすい」「最も延長されやすい」という性質があって、しかもエントリー位置・損切り位置・利確位置を波のルールから機械的に決められる——これがトレードロジックに落としやすい理由です。1波で入ると2波の押しがどこまで来るか分からないし、5波で入ると終わりがどこか分からない。でも第3波なら、2波の押しを基準にエントリーを置き、1波始点を基準に損切りを置けます。判断の主観が、構造的に減るんですよ。

※「第3波は最も延長されやすい波である」というのは、Frost & Prechter『Elliott Wave Principle』の Wave Personality 章で示されている位置づけです。原典の世界でも、第3波は5波の中で特別扱いされている、と覚えておけば十分です。

基礎が曖昧かもと感じた方は、FX相場の原理原則(基本篇)押し目候補としてのフィボナッチ半値の使い方、それから1〜5波の人格を1行で整理した過去メモあたりを先に読んでおくと、このあとの話が一気に腑に落ちますよ。


第3波の前に、何が起きていないとダメか——3つのハードルール

「カウントが後付けになる」という悩みの正体は、たいていカウントを無効にするラインを最初に置いていないことです。先にこの「禁じ手」を決めておけば、ルール違反のカウントは見た瞬間に捨てられます。

囲碁でいう「禁じ手」と同じです。打った瞬間に局面が無効になる手は、最初から打たない。トレードで言えば、「ここを割ったらカウントごと捨てる」というラインを引いておいて、そこを守れているシナリオだけを土俵に上げる、という発想ですね。

第3波シナリオに乗る前に確認したいハードルールは、次の3つです。

  1. ルール1:2波は1波を100%超えて押してはいけない——超えた瞬間に、その「1-2」というカウントは無効になります。第3波シナリオの前提が崩れるので、ここを割ったら撤退です。
  2. ルール2:3波は1波・3波・5波のうち最短にはなれない——もし第3波が1波より短く終わってしまった場合、それは「第3波だった」のではなく、カウントが間違っていた可能性が高いです。
  3. ルール3:4波は1波の領域に重なってはいけない(ダイアゴナル例外を除く)——これはエントリー時点ではまだ未来の話なので、第3波を狙う段階では「次のステージで使う」くらいに覚えておけばOKです。

このうち、第3波エントリーで毎回確認するのはルール1だけでほぼ足ります。「2波の押しは、1波の始点を割らない」——これだけ意識しておけば、シナリオが生きているか死んでいるかが、いつでも一瞬で判定できるんですよ。

※上記の3ルールは、Frost & Prechter のコアルールおよび Elliott Wave Forecast の解説に基づく原典準拠の前提条件です。

「1波の始点」「2波の押し安値」を客観的に置けるようになるには、押し安値・戻り高値の引き方が前提になります。自信のない方は押し安値・戻り高値とBOS/CHoCH(1波の起点を客観化する)を先に読んでみてください。


2波の押しは、どこで終わると考えればいいの?

「フィボ何%で買えばいいんですか?」——これ、ものすごくよく聞かれる質問です。結論を言うと、FXでは50〜61.8%を基本ターゲットのゾーンとして、点ではなく面で見るのがおすすめです。

ジェットコースターをイメージしてみてください。頂点に達したあと、少しだけ戻って加速していきますよね。あの「戻り」が浅すぎても深すぎても、勢いよく次の山に行かないんですよ。深く戻りすぎたら「そもそも頂点ではなかった」というサインですし、戻らなさすぎても助走が足りない。50〜61.8%というのは、ちょうど良い助走の範囲だと思ってください。

場面別にもう少し細かく整理します。

押しの深さ相場のサイン推奨アクション
38.2%付近(浅押し)非常に強い相場の可能性。買い圧力が強く、押しが浅く終わる。機会は少ないが見逃さない。反転足が出れば順張りで仕掛ける。
50〜61.8%(標準ゾーン)最も頻度の高い押しの終わり方。ここで第3波シナリオを準備する。本命のエントリーゾーン。反転足の終値確定を待つ。
76.4%付近(深押し)シナリオはぎりぎり生きているが、1-2-1-2の入れ子の可能性も。ロットを軽くする。または見送って、より明確な構造を待つ。
100%超えハードルール1違反。第3波カウント自体が無効化。即時撤退。シナリオを白紙に戻す。

※「2波の押しは通常50〜76.4%のフィボナッチ範囲で終わる」というのは、Elliott Wave Forecast のインパルス構造の解説で示されているガイドラインです。

2波の押しを38.2%浅押し/50〜61.8%標準ゾーン/76.4%深押し/100%超え無効の4段階で分類し、それぞれの相場サインと推奨アクションを整理した図解

1つだけ注意点を添えておきます。海外の解説で「38.2%の浅押しは61.8%より約2倍頻度が高い」という統計を見ることがあります。これはチャートパターン研究家の Rich Swannell さんによる集計なんですが、株式市場を対象にした数字なんですよ。FXは出来高指標がそのまま使えないこともあって、市場の構造が違います。なので、この数字をそのままFXに当てはめて「FXでも浅押しが多い」と思い込むのは避けてください。※Swannellの集計は株式市場対象。FX相場ではそのまま当てはまるとは限りません。

フィボ押しの基礎をもう一度確認しておきたい方は、フィボ38.2/50/61.8の押し目候補の扱い押し目候補としてのフィボナッチ半値の使い方もあわせてどうぞ。


第3波エントリーの実戦ワークフロー——2波押し→1波高値ブレイク→建てる

「結局、どこで建てればいいんですか?」——ここまで読んでくれたあなたが、いちばん聞きたい話だと思います。手順は4ステップです。

バス停で待っている自分を想像してみてください。バスが見えてもすぐ走って乗り込まないですよね。停車を見届けて、ドアが開いて、お客さんが乗り降りして、自分の乗る番が回ってきてから足を踏み出す。トレードでも同じで、「走り出しを確認してから足を伸ばす」のが事故を減らすコツです。

具体的なステップは次のとおりです。

  1. ステップ1:上位足(H4など)で方向と「いま何波目か」の仮説を立てる——上位足のトレンドと第3波シナリオの方向が一致していなければ、その時点でこの章はスキップしていいです。
  2. ステップ2:中位足(H1など)で1波と2波の形を確認する——1波がインパルスとして数えられるか、2波が50〜61.8ゾーンに入っているか、ハードルール違反がないかを順にチェック。
  3. ステップ3:下位足(M15など)で反転シグナルを待つ——50〜61.8ゾーンの中で、包み足・ピンバー・ダブルボトム(トップ)など、自分が事前に決めた反転足の終値確定を待ちます。ここで飛び乗らない。
  4. ステップ4:1波高値(または直近スイング高値)を終値で実体ブレイクした足で、順張りエントリー——ヒゲ抜けは様子見、終値抜けで建てる、というシンプルな線引きを守ってください。

2波の50〜61.8%本命ゾーンで反転足を待ち、1波高値の終値ブレイクでエントリー、損切りを2波起点の少し下、利確をフィボ1.618/2.618/4.236の3段階で配置する第3波エントリーの基本フロー全体図

もう1つ重要な話があります。FXは統一の出来高指標が取れないので、原典で言われる「volume expansion(出来高の急増)」をそのままは使えません。代わりに、各MT4/MT5が提供するティック数の急増、ATRやボリンジャーバンドの拡大、継続ギャップ(continuation gap)の出現といった「加速のサイン」で代用するのが現実的です。ローソク足の実体が長く、ブレイク後のティック数が明らかに増えていれば、第3波らしい本気の動きと判断できるんですよ。※継続ギャップ(continuation gap)は、Frost & Prechter が第3波の特徴として挙げる加速サインの1つです。

少し私の体験を挟ませてください。私自身、エリオットを学び始めた頃は「1波目で先回りして入れば値幅が取れる」と考えて、毎回1波と思しき動きで飛び乗っては、2波の押しに刈られていました。チャートを見るたびに「次こそ」と思って入って、また刈られる、を繰り返したんですよ。あるとき腹を括って「1波は見送る、2波の反転足を待ってから入る」とルールを変えたら、勝率の話以前に「1日のエントリー回数」が3分の1くらいに減って、メンタル的にすごく楽になりました。1波で取り逃した分は、2波からの第3波で取り返せるんですよ。やってみると分かりますが、これが効きます。

ブレイク判定で「終値か、ひげか」で迷う方は押し安値・戻り高値とBOS/CHoCH(1波の起点を客観化する)を、MTFの3枚セットの選び方はスタイル別MTF3枚セットを参照してみてください。


損切りはどこに置くと、ロジックが破綻しないか

「直近安値に置いたらノイズで刈られる」「かといって遠くに置いたらロットが小さくなる」——損切り位置の悩みは、毎回つきまといますよね。結論を言うと、損切りは「2波起点(=1波の始点)の少し下」に置くのが、ロジックと最も整合します。

建物の基礎ラインをイメージしてみてください。基礎が崩れたら、上の階を補修しても意味がないですよね。トレードでも同じで、「2波起点を割ったらカウント自体が無効」というハードルールがあるので、ここを基礎ラインにすれば、損切り=シナリオ破棄、というシンプルな整合性が保てるんですよ。

もう少し詳しく見ていきます。

リスクリワード比は、エントリー前に「2波起点までの距離 vs フィボ1.618までの距離」で事前に計算しておきます。たいていの場合、第3波は1波の値幅以上に伸びるので、1:2以上のリワードは確保できる構造になっているんですよ。もし計算してみて1:1を下回るようなら、そのシナリオは見送るのが安全です。

※「2波が1波を100%超えるとカウント無効」は、Frost & Prechter のコアルールに基づく原典準拠の前提です。


利確はどこで考える?——フィボ1.618 / 2.618 / 4.236 の使い分け

「1.618で利食ったら、そのあと2.618まで伸びて取りこぼした」——これも第3波あるあるの1つですよね。逆に「2.618まで待ったら失速して値幅を返した」というパターンもあります。結論を言うと、1.618で半分、2.618で残りの半分、最後の建玉は4.236か2波起点を割らないトレール——この3段階で考えると、両方の悔しさを減らせます。

卵を3つのカゴに分けて盛る発想だと思ってください。1つのカゴで全部当てに行くと、外したときに全滅します。3つに分けておけば、どこかが取れるんですよ。

具体的な目安は次のとおりです。

利確レベル建玉配分の目安サインと判断
フィボ1.6181/3〜1/2を確定第3波で実戦上よく参照される目標値。延長が起きなくてもここまでは届きやすい傾向。
フィボ2.618残りの半分を確定延長サイン(継続ギャップ、ティック急増、ATR拡大)が出ているときに参照する拡張目安。
フィボ4.236最終建玉の参考目安第3波の中の第3波(最も加速する局面)が走ったときに、実戦上届くことがある拡張目安。
2波起点トレール逆指値を引き上げ続ける4.236到達前に失速した場合の保険。利益を守りながら伸ばす。

損切りを直近安値(NG・ノイズで刈られる)と2波起点の少し下(OK・カウント無効と一致)で対比し、利確を1.618/2.618/4.236の3段階と2波起点トレールで配置する損切り・利確の置き方図解

注意点を1つ。この1.618/2.618/4.236テンプレは、Frost & Prechter 原典の固定テンプレートではなく、実戦上よく参照される目安です。「波の数字に絶対の意味がある」と思い込まず、目安として柔軟に運用してみてください。

もう1つ、よく言及される数字を添えておきます。Elliott Wave Forecast の解説によれば、延長波(普通より長く伸びる波)の約9割は第3波で起きる、とされています。※「90% of extensions occur in Wave 3」 — Elliott Wave Forecast (elliottwave-forecast.com/elliottwave/elliott-wave-extensions/)。原典 Frost & Prechter の固定値ではなく、EWF の主張に基づく数字です。体感で言うと、10回の延長のうち9回くらいは第3波が伸びる側、と覚えておくとイメージしやすいですよ。だからこそ、第3波は「伸ばす建玉」を残しておく価値がある波なんですよね。

第5波での利食いの考え方とセットで読みたい方は、第5波での利食いの考え方もあわせてどうぞ。


第3波と修正波Cは、どこで見分ければいいの?

「形がそっくりで、入ってから逆に動いた」——これ、修正波Cを第3波と勘違いするパターンですよね。結論を言うと、第3波と修正波Cはどちらも内部5波構造を取り得るため、形だけでは見分けられません。最大の判別軸は、上位足のトレンドと方向が一致しているかです。

似た顔の双子を見分けるとき、本人の特徴だけで判断しようとすると間違えませんか。それより、「どっちの親と一緒に歩いているか」で見たほうが、確実に当たります。第3波と修正波Cも同じで、波そのもののパターンより「どっちの流れの中にいるか」を見るほうが、誤認が減るんですよ。

判別表を整理しておきます。

観点第3波修正波C
上位足のトレンドとの関係方向が一致している方向とになっている
直前の波の構造1波(インパルス)と2波(押し)のあとA波・B波の後に出るC波(A-B-Cの最終局面)
止まりやすい位置1波の値幅×1.618 / 2.618 / 4.236A波の値幅×1.0 / 1.618
継続ギャップ出やすい(特に波の真ん中で)出にくい(修正波なので勢いが弱い)
波の真ん中の勢い加速して走る失速気味、ヒゲが目立つ

第3波と修正波Cを上位足の方向、直前構造、目標値、波の勢いの4観点で左右対比し、形ではなく上位足トレンドとの一致が最大の判別軸であることを示した図解

いちばん大事なのは、1番上の行です。上位足のトレンド方向と、自分が「第3波だ」と思っている波の方向が一致しているか。これだけは、エントリー前に必ず確認してみてください。一致していないなら、それは第3波ではなく修正波Cの可能性が高い、と疑うクセを付けるんですよ。

上位足を優先する根拠については、上位足の方向を優先する根拠(フラクタル/流動性)でフラクタル構造と流動性の観点から整理しています。あわせて読むと、「なぜ上位足優先なのか」が腑に落ちますよ。


リーディングダイアゴナルだと思ったら、ただの1-2-1-2だった——深押しに刈られないために

「楔型に重なって進んでいる、これはリーディングダイアゴナルだ」と判断して入ったら、78.6%まで戻されて損切りになった——これも第3波周りの誤認あるあるです。結論を言うと、「リーディングダイアゴナルらしき形」は、実はほぼ1-2-1-2の入れ子であることのほうが多いんですよ。

階段の最初の1段だと思って踏み出したら、実は半地下への下り階段だった、という錯覚に近いです。見た目はよく似ているのに、下りた先の地形がまるで違う。1-2-1-2の入れ子に踏み込んでしまうと、想定以上の深押しに刈られます。

もう少し具体的に整理します。

Elliott Wave Plus のガイドではこう警告されています。「リーディングダイアゴナルに見えるものは、たいてい1-2-1-2のほうである。リーディングダイアゴナルは深く戻されることが多く、もし1波の位置にあるなら78.6%のジグザグで戻されるのが典型」。※Elliott Wave Plus『Guide 2: Wave Notes – An Outline of the Wave Principle』。——つまり、「ダイアゴナルかも」と思った時点で、78.6%まで戻されても耐えられるロットかを自分に問い直してください。耐えられないなら、その時点で見送りです。

実は、迷ったときの解決策はシンプルです。ダイアゴナル判定で先回りせず、2波→1波高値ブレイクというシンプルな順序を待つ。「これはダイアゴナルかも」と先回りすればするほど、入れ子の深押しに刈られる確率は上がります。記事のメインワークフロー(2波の反転足→1波高値の終値ブレイク)だけを守っていれば、ダイアゴナル誤認は構造的に避けられるんですよ。

誤認したあとの「取り返しエントリー」がいちばん危ないので、誤認時のポジポジ病回避もあわせて読んでおくと、メンタル面の安全装置になります。


H4→H1→M15で第3波シナリオを組み立てる——時間足の役割分担

「どの時間足で何を判断するんですか?」——ここまでの話を時間足軸で並べ直しておきます。結論を言うと、上位足で方向と「いま何波目か」の仮説、中位足で1波・2波の形、下位足でエントリータイミング——この3層を分けると、判断が混ざらなくなります。

登山で言うと、地形図(広域)、コースマップ(中域)、現在地マップ(足元)の3種類を使い分けるのと同じです。1枚で全部を見ようとすると、どれも中途半端になって遭難します。3枚を役割で分けるからこそ、迷子にならずに頂上まで降りていけるんですよ。

具体的な役割分担は次のとおりです。

時間足役割確認すること
H4(上位足)方向と仮説上位足のトレンド方向。いま大きな1〜5波のどこにいるか。第3波シナリオの環境かどうか。
H1(中位足)1波・2波の形1波がインパルスとして数えられるか。2波がフィボ50〜61.8ゾーンに入っているか。ハードルール違反がないか。
M15(下位足)エントリーの引き金50〜61.8ゾーンの反転シグナル(包み足・ピンバーなど)の終値確定。1波高値の実体ブレイク。

H4で環境認識(方向と仮説)、H1で構造確認(1波・2波の形)、M15でエントリーの引き金(反転足の終値確定と1波高値の実体ブレイク)という時間足の役割分担を3層で並べて示した図解

注意点を1つ。このH4→H1→M15はあくまでデイトレ向けの一例であって、エリオット原典に推奨MTFの組み合わせは存在しません。スイング寄りなら週足→日足→H4、スキャル寄りならH1→M15→M5でも、同じ階層構造(方向/形/引き金)で運用できます。※当サイトのスタイル別MTF3枚セットに基づくデイトレ向けの一例です。

自分のスタイルに合うMTFが分からない方は、スタイル別MTF3枚セットでスキャル/デイトレ/スイング/ポジションの4スタイルの早見表を用意しているので、そちらから自分の3枚を選んでみてください。フラクタル/流動性の観点でなぜ上位足が優先されるかは、上位足の方向を優先する根拠で別途まとめています。


第3波を取り逃さないための、最終チェックリスト

ここまでの内容を、エントリー前に1分で確認できるチェックリストに圧縮します。1つでも欠けたら見送り、というシンプルな運用がおすすめです。

飛行機の離陸前チェックリストと同じ発想だと思ってください。パイロットは項目を1つでも飛ばさず、全部に「異常なし」が揃ってから離陸ボタンを押しますよね。トレードのエントリーも、項目チェックを習慣にすると、無理なエントリーが構造的に減ります。

  1. 上位足のトレンド方向と一致しているか——第3波シナリオの方向が、上位足の流れと合っているかを最初に確認。一致していないなら、それは修正波Cの可能性が高い。
  2. 1波がインパルス(5波構造)として認識できるか——もし1波が3波構造に見えるなら、それはA波の可能性がある。順張りシナリオの前提が崩れる。
  3. 2波が1波の50〜61.8ゾーンに到達したか——38.2の浅押しは別枠で扱う。76.4を超えたらロットを軽くする。100%超えなら撤退。
  4. 2波起点(=1波始点)が見えていて、損切り幅が許容範囲か——リスクリワードを事前計算。1:1を下回るシナリオは見送る。
  5. 1波高値を終値で実体ブレイクしたか——ヒゲ抜けでは入らない。終値が確定してから建てる。
  6. ブレイク時にティック数増・ATR拡大・継続ギャップなどの加速サインが出ているか——出来高の代用としての本気度の確認。
  7. 修正波Cやリーディングダイアゴナル誤認の可能性を一度疑ったか——「これは第3波で間違いない」と思った瞬間に、もう一度逆方向の可能性を疑うクセを付ける。

このチェックリストを、MT4/MT5のテキストツールで画面の隅に貼り付けておくのもおすすめです。エントリー前に視線が必ず通る位置にあると、忘れにくくなります。


FAQ

第3波は本当に毎回いちばん伸びるのですか?

「最も延長されやすい」というのが Frost & Prechter による原典の表現で、必ず伸びる保証ではありません。第1波や第5波が延長する相場も実際に存在します。第3波を本命として狙いつつ、伸びなかった場合の損切りラインを先に置いておく——という現実的な使い方をおすすめします。エリオット波動は確率的アプローチであることを忘れないでください。

出来高が見られないFXでは、原典の「volume expansion」をどう読み替えればいいですか?

FXは分散市場で統一の出来高が取れないため、各MT4/MT5が提供するティック数の急増、ATRやボリンジャーバンドの拡大、継続ギャップ(continuation gap)の出現といった「加速のサイン」で代用します。出来高インジに頼らず、ローソク足の実体の長さや、ブレイク後のティック数増加を見るのが現実的です。「実体が短くてヒゲばかり、ティックも増えていない」ブレイクは、第3波らしい本気の動きではない、と判断していいですよ。

フィボ押しは50%と61.8%のどちらを基準にすべきですか?

点ではなく「50〜61.8%のゾーン」で見るのがおすすめです。Elliott Wave Forecast の解説では50〜76.4%が標準レンジとして紹介されています。Rich Swannell さんの集計では38.2%の浅押しが61.8%より約2倍多いとされていますが、これは株式市場の統計なので、FXに直接当てはめずに参考扱いにとどめてください。FXで自分の通貨ペアの傾向を知りたいなら、自分で同じ通貨ペア・同じ時間足で再検証するのがいちばん確実です。

損切りを2波起点ではなく直近安値に置きたいのですが、ダメですか?

浅い損切りでロットを大きくしたい気持ちは分かるんですが、直近安値はノイズで刈られやすく、また割ったとしてもカウント自体は無効になりません。「刈られたけどシナリオは生きていた」という最悪の経験を増やしてしまいます。2波起点を割ったらカウント無効=撤退、というシンプルな整合性を保つほうが、長期的に判断のブレを減らせるんですよ。損切り幅が広いと感じるなら、エントリー位置をずらすのではなくロットを縮める方向で調整してみてください。

第3波を見逃しました。第5波で入ってもいいですか?

入れますが、第5波は「終わりの波」のため伸びが鈍りやすく、第3波と同じ感覚で持つと天井圏で刈られます。第5波の利食いについては第5波での利食いの考え方で別途まとめているので、そちらと組み合わせてみてください。基本姿勢としては、第3波を逃したら無理に5波で取り返さず、次の1-2サイクルを待つのが安全です。エントリー機会は、待っていれば次がきます。

日本語で体系的にエリオット波動を学ぶには?

日本語で研究・出版を行う団体として、一般社団法人 日本エリオット波動研究所(jewri.org)があります。書籍やセミナーで日本語の用語整理を進めるのに役立ちます。ただし「公式の用語標準化機関」というわけではなく、日本語の学習リソースの一つとして参照してください。原典は Frost & Prechter の『Elliott Wave Principle』なので、英語に抵抗がない方はそちらにも目を通しておくと、解像度がさらに上がりますよ。


次の検証ステップ

この手法を本当に使えるか確認するには、過去チャートで同じ条件を繰り返し検証する必要があります。検証環境の選び方は、以下の記事でFTO・FT6・TradingViewを比較しています。

まとめ:第3波は「波のルール」で機械的にロジック化できる、唯一の波

長くなったので、要点を最後にまとめておきますね。

明日、チャートを開いたら、まずこのチェックリストを画面の隅に置いてみてください。そして、いま自分が見ている通貨ペアで「2波の押しはどこまで来そうか」「1波の高値はどこか」「2波起点はどこか」を、エントリーする前に1行で言葉化してみるんですよ。言葉化できないシナリオは、まだ熟していないシナリオです。やってみると本当に楽になりますよ。

関連記事もあわせて読みたい方は、以下からどうぞ。


参考文献・出典

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